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《ネタバレ》 演出面で古臭いところもあるが、全体としていわば正統派の雰囲気を持った怪談になっている(終盤の一部を除く)。映画撮影の現場ということで内輪ネタという感じもなくはないが、もともと実話系怪談でもスタジオというのは何かが籠った場所として扱われる傾向があり、これはこれでオーソドックスな設定ともいえる。
ところでストーリーはよくわからない点が多いが、表題のモノが撮影所にいた理由に関しては、やはり昭和46年のドラマ制作が原因だったと思われる。ドラマの内容自体、母と娘の想像が架空の人物を生み出すような話だったらしく(これは結構怖い)、これを演じた結果、本当にその人物が撮影所内に現実化してしまったということらしい。映画制作というものが、何もなかった空間に別の世界や人間を創り出すことの神秘性を描き出そうとする意図があったのなら、撮影所を舞台にしたことにも一定の必然性が感じられる。 一方で劇中の監督が幼少時に今回の事件をあらかじめ体験していたらしいのは意味不明だが、そもそもこの記憶のせいで監督が映像の道を志し、ドラマのストーリーにヒントを得たかのような映画を作ろうとしたということであれば、むしろ初めから全てが仕組まれていたのではという疑いも生じる。今回もまたお蔵入りのフィルムができてしまったということだろう。 主人公は外見的にも情けない感じで監督としての威厳が感じられないが、終盤で醜態をさらすのは心が子どもに返っていたためだろうから仕方ないのだろうし、また故郷の母親は普通に気の毒に思われる。向上中だった若手女優を含め、登場人物がそれぞれ映画にかける思いがありながら、全て断ち切られてしまった悲哀も感じられなくはなかった。 なお完全に余談になるが、若手女優役の若手女優(石橋けい)を見ていて、「有言実行三姉妹シュシュトリアン」<TV>(1993)の出演者と気づいて笑ってしまった(役者が可笑しいのではなく番組が変)。劇中人物としては残念なことになってしまったが、本人は今も元気で(当然だが)女優として活動中のようである。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 6点(2014-12-20 19:28:26)(良:1票)
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