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《ネタバレ》 ライトノベルを原作とした青春映画で、福岡市に拠点を置く「テレビ西日本」が中心になって製作し、撮影は福岡県内で行われたとのことである。結果的にはさまざまな面で見る側にかなりの寛容さを求める映画になってしまっているが、それでもあえて自分としては褒めることにした。こういうものを大真面目に作ったTV局はえらい。
まず「元魔法少女は忘れ去られる運命にある」というのが基本設定になっており、これが終盤ではかなり衝撃的な形で描写されていたが、しかしそのように“忘れられる”ことだけでなく、“忘れる”ことの悲しみも強く表現されていたようである。人は何かが好きだと思ったとき、同時に自分のその気持ちがいつか失われることを予期して悲しく思うことがあるが、そのような主人公の思いが切なく感じられる映画だった。 また「元魔法少女」とはそもそも何のことなのか、説明がないまま終わらせるという突き放した態度も嫌いでない。劇中歌の歌詞で、“恋をしたら呪文を忘れる”というようなことを言っていたのをまともに取れば、実際に(発端の時点から?)恋をしていたので魔法が使えなかったのかとも思われる。終盤の荒唐無稽かつ都合良すぎの展開は、2人の強い思いが魔法に負けないほどの奇跡を生んだとでも思っておくしかないか。 登場人物に関しては、劇中の魔法少女はほとんどの場面で可愛らしい美少女に見えたが、鋭角的な顔立ちのせいもあって単純にカワイイで終わりにならない複雑な印象があり、これがいかにも魔法少女らしいといえなくもない。 一方の幼馴染はマンガっぽい可愛さを出しており、序盤で眼鏡がずれたところなどは秀逸だったが、中盤での告白場面はあまりにも痛々しいので正直泣かされた。ここまで延々と語らせておいて何で早く受け止めてやらないのか、と男の側に言いたくなったが、結果的に受け止めてやらなかったのは非常に意外だった。結局、誰かのハッピーエンドは別の誰かの不幸を前提にするものだったようで、これが魔法少女の魔性ということかと思わなくもない。 ただ彼女は忘れられたとしても、逆に彼女の方が忘れることもできるという意味ではお互い様である。大人ならそう思って納得するところだが、しかしその場の当人にとってはそうもいかないのであって、ここは自分としても大昔の記憶がよみがえる気がして若干切ないものがあった。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 6点(2017-02-16 23:14:01)
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