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《ネタバレ》 公開時から悪評ばかりで全く見る気がしなかったが、米アカデミー賞ノミネートということで試しに見た。見ればそれほど真に最悪な映画でもなく、主人公の声も変だが慣れた(上白石萌歌さんの今後に期待する)。登場人物がやかましいとか気に障るとか言動が4歳児でないとか顔のデフォルメが極端なのは嫌いだとかいろいろあるが、どんな映画でも(特にアニメは)我慢を強いられる場面というのはあるものだ。主人公の家はそのうち高齢者用にエスカレーターでも設置しなければならなくなるだろうがそれは後の話だ。
物語に関しては、それまで主人公にとって自分が世界の中心だった状態から、周囲の空間的・時間的な広がりの中で自分の位置を捉えるに至った最初の体験という、いわば世界認識の転換(コペルニクス的転回のようなもの)が描かれているのかと思ったが、最後の庭の木の話からすると生命の連鎖のようなものがテーマだったということか。しかしどういう意味にしても、それを誰に見せようとしているのかはわからない。幼児が当事者意識をもってこれを見るはずはないので、要は親も子に育てられる面がある、といったようなことなどを含めて子育て世代そのほか思い当たる人々の共感を得たいという話なのか。何にせよ自分としては対象層から外れているので特に愛着を覚えるようなものではなかった。 なお主人公の行き先で少し注目したのは戦後すぐの横浜市磯子区(※)で、考証的にはどうかわからないがこういう景観だったのだろうなとは思った。世間の評判通り曽祖父は格好よすぎだ(「おら」というのが微妙な方言だ)。ちなみに復員輸送艦になっていた第九号輸送艦と航空母艦鳳翔が映っており、その鳳翔の解体が始まった昭和21年8月末までの間のことだったと思われる。 また未来の東京駅は結構好きだ。外国語表示の言語数が増えている(北東アジアばかりでない)のは好ましいことだが、ただし繁体字が見えなかったのは不穏なものを感じる。遺失物係は劇団イヌカレーかと思った。ケモノ新幹線に関しては、外皮の手触りを確かめてみる場面がなかったのが残念だ(モフモフかゴワゴワか)。 ※東京駅のアナウンスでは「いそいそ区」とか言っていた。 【かっぱ堰】さん [インターネット(邦画)] 5点(2019-04-20 14:58:41)(良:1票)
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