ソイレント・グリーン の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ソ行
 > ソイレント・グリーン
 > かっぱ堰さんのレビュー
ソイレント・グリーン の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ソイレント・グリーン
製作国
上映時間97分
ジャンルドラマ,サスペンス,SF,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 原作は読んだことがない。時代設定が2022年とのことで今年中に見るかと思っていた。
設定としては極端な人口増加と環境破壊と貧困化と社会の劣化が生じた世界になっている。現実の2022年に生きている者の感覚からすると、少なくとも先進国では人口を減らす方向のようで今どき人口爆発など考えられないと思ったが、しかし多数の難民・移民の流入などなら実際あっても変でないとはいえる。
劇中世界はいわゆるディストピアだが、「ホーム」にだけは利用者への配慮もあって人道的だった。自分なら色は青にするだろうが(落ち着く色)、その場になれば劇中人物のように暖色を選ぶ気になったりするかも知れないとも思った。楽に死ねる制度があるのは悪くないので劇中人物にも共感できたが、ありきたりな音楽や風景映像が煩わしく感じたので、もっと個人の好みに合った演出を期待したくなる。
そういうことを考えるのは自分がその年齢の方に近くなってきたからだが、しかし最近はより若い層でも生きづらさに疲れて、安楽死の権利に期待する風潮も出てきているように感じている(気のせいならいいが)。現実の2022年では人口の増減というよりも、個人の尊厳をもって生き続けられる社会の維持が課題になっているのではと思った。この点が最も現代に通じる問題提起になっていると感じる。
ほか雑談として、「ソイレントくず」をまとめて売っていたのは実際ありそうで笑った。人工食物の製造現場では特にグロい場面もなく、いきなり乾き物の製品ができていたが、日本人ならすり身にして練り物(蒲鉾など)を作ろうと考えるのではないか(考えないか)。何にせよ共食いはプリオン病が恐ろしいのでやめた方がいいというくらいの感覚が現実世界の人類にはある。
なおエンディングで音楽と風景映像を再現したのは皮肉な感じで結構だった。多幸感が出ている。

[2023/4/1追記] 積極的尊厳死の制度化など当面ないだろうと思っていたが、2022年のうちに邦画「PLAN 75」が公開され、また今年に入ってからはネット上で高齢者の集団自決を促した発言も話題になっていた。これでかえって人々の認知度が高まって、本当にその方向に世の中が動いていくのではと思ったりする。高齢者に限定するとエイジズムだと批判されるだろうが、この映画のようにあくまで自由意思ということにして、対象年齢も拡大しておけば(18歳以上など)世界正義に反しないかも知れない。
一方でこの映画の食物がそのまま実用化されることはないだろうが、食糧危機への対応という面ではすでに昆虫食が注目を集めている。またそれとは別に、人体の処理方法としては「堆肥葬」(Human composting/人間の堆肥化)というのが提案されていて、スウェーデンとアメリカの6州では合法化されているらしい。そのうちに、火葬でCO2を大量に排出する日本人は人類の敵だと指弾される世界になるかも知れない。
映画と現実の2022年は違うところも当然あるが、意外に似た雰囲気が出てきているのはものすごい先見性のある映画だったということか。ディストピアが実現するかどうかに関わらずどうせ自分は先に死ぬので、あとは残った人々の望むようにしてもらって結構だ。
かっぱ堰さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-09-03 10:03:15)(良:1票)
かっぱ堰 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-20オクス駅お化け5レビュー4.66点
オンマ/呪縛6レビュー5.50点
2024-04-13リゾートバイト6レビュー6.20点
2024-04-13“それ”がいる森4レビュー3.20点
2024-04-13事故物件 恐い間取り6レビュー3.56点
2024-04-06モロッコ、彼女たちの朝5レビュー5.00点
2024-04-06ラフィキ:ふたりの夢5レビュー5.00点
2024-03-23ザ・デッド インディア6レビュー6.50点
2024-03-16FUNAN フナン7レビュー7.00点
2024-03-16シアター・プノンペン7レビュー7.00点
ソイレント・グリーンのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS