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《ネタバレ》 19世紀初め、南アメリカ(北西地域)をスペインの支配から解放して独立させた英雄の映画である。邦題は英題のカタカナ書きだが、それより原題のリベルタドールLibertadorを使った方が、日本でも知られたコンキスタドールという言葉(「虹コン」など)との対比で人物の性格が際立ったのではという気がする。
出身地はベネズエラのカラカスとのことだが、1999年から2013年までベネズエラ大統領だったウーゴ・チャベスは、この人物を賞揚して国名を「ベネズエラ・ボリバル共和国」とわざわざ改名し、その政策も「ボリバル革命」として知られている。この映画も国策映画のようなものかと思ったが、部外者として見た限りではそれほど臭みのようなものは感じられなかった。世界史的な有名人を知っておく意味で見る意義のない映画でもない。 ただし内容的には大河ドラマを2時間に縮めたようで何が何だかわからない。どうも歴史的経過をこの映画自体でわからせようという気がなかったようだが、主人公の最期が謀殺だったとほとんど断定していたのはこの映画の独自性かも知れない。弁論合戦とかアンデス越えとか橋の大激戦といった見せ場はあり、また港の少年のエピソードが救われた気にさせるラストではあった。 主人公の政治的な考え方に関しては、本人が美辞麗句で理想論を語るのはあまり真面目に聞く気にならなかったが、結論的にはアメリカ合衆国の建国の理念と同じであって、ただ白人だけでなく全人種のためと言っていたのはたとえ話としてわかりやすい。ただし初めから考えが固まっていたのではなく、意見が対立しているように見える相手から、その都度考え方を取り入れながら視野を広げたようには見えた。 しかし南米の統合(境界をなくすこと)にこだわっていたのは実は動機が不明だった。各地の在地権力者の専横を抑えて国の力を大きくし、外国勢力(金融関係?)の介入を防ごうという意図ならわからなくはないが、この辺が製作当時の政権の主張に沿った形になっていたということか。 なお手厳しかったのは“スペイン人は支配はしても家族の生命までは奪わなかった”という老婦人の発言だったが、そう言われても、スペインの支配が永続していいともいえないので困ってしまう。史実がどうだったかは知らないが、この映画で見た限りでは優しすぎる英雄の姿が表現されていたようで、そういう人物像には好感が持たれた。 ちなみに主人公の奥様も、オッパイはともかくなかなかできた人物だったようで、早々に退場してしまったのは残念だった(手に黄疸が見えた)。 【かっぱ堰】さん [インターネット(字幕)] 6点(2020-06-06 10:27:38)
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