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《ネタバレ》 1992年のグルジアの話である。ソビエト連邦から独立した次の年だが、独立しただけで人々が幸せになるわけでもなく、内戦が起きたりして不穏な情勢が続いていたらしい。
季節は春から夏にかけてとのことで、領内で独立を求めていたアブハズ人、オセット人とグルジア国家との間で紛争が起きた時期に当たる。冒頭から民族意識を高揚させるラジオ放送が聞こえ、その後の字幕でも「スフミ」「アブハジア」「ツヒンヴァリ」といった紛争地の地名が出ていた。 劇中で見える現地は殺伐とした雰囲気で、国家と少数民族が戦う一方、近隣社会も家族もみな苛立って争っている。また権威主義とか男尊女卑といった社会の体質も問題視されており、略奪婚などというものに加え、嫁に行ってしまうと学校に行かない(やたらに外出しない?)風習も残っていたようで、義務教育は一体どうなっているのかと呆れる。 物語としては、結末がどうなったのか正直わからなかった。途中まではとにかく男が悪いと言いたいのかと思ったが、最後に主人公が父親のところを訪ねたのはどういう意味だったのか。結婚を無理強いされた親友が、実家の父親の方がまだましだという場面もあったが、主人公としても自分の家族を見直すために、まずは父親の実像を見極めようとする決心がついたということか。民族同士や人間同士が争う中では家庭が年少者を守れる場でなければならず、それによって/そのためにも、社会全体を穏やかな方向に変えていこうという意味と思えなくはない。 また武器に関しては、暴力の抑止のために持つのはやむを得ない状況があるにしても、殺すために使ってはならないという割り切り方だったかも知れない。冒頭のラジオでは国民が「武器を備えるべき」と言っていたが、いずれは誰もが武器を捨てる社会(少なくとも国内では)を作ろうとするのは当然のことである。 以下余談として、グルジア側の要請により日本政府は2015/4/22から英語由来のジョージアという名前でこの国を呼んでいるが、グルジア側としてロシア語由来の名前を嫌うのはわかるとして、何で現地語のサカルトヴェロでないのかと普通は思う。 これに関して最近思ったのは、あえて英語名にすることで西側に近い国だとアピールし、ナショナリズムよりもグローバル志向のイメージを出そうとしているのかと思った。この映画で見る限りはとても親近感を持てそうにない国だが、この時から30年も経って現地の状況も変わってきているものと思っておく。 【かっぱ堰】さん [DVD(字幕)] 5点(2022-05-21 09:45:14)
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