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《ネタバレ》 中野良子さんが出ているので10年前に一度見たが、時間が長く荒唐無稽な場面ばかりで何を面白がればいいのか全くわからなかった。今回改めて見ると一応面白くなくもなかったが、決着の付け方があまりにも適当な上に「終わりはない」も意味不明で(また逃げる?)、娯楽映画としてはともかく納得のいく話ではない。
ドラマの面では特に、いきなり射殺していいほどの悪とは何だったのか説明がついていない。製薬業者と医師が結託した悪事は悪魔的だろうが、爆弾テロリストの排除まで悪とするなら同調できない。なお黒幕の政治家は韓国に行くと言っていたが、これは当時の軍事政権との関係を思わせるものがあり、反共ということで筋を通す人物だったかも知れない。共産主義勢力からすれば存在自体が悪となる。 世間で問題視されている点に関しては、 ○変な劇伴音楽は、ロードムービー場面のテーマと思っていればそのうち慣れる。しかし病院で突然また流れ始めたのは完全に意図不明だった。 ○クマは、この程度の出演なら着ぐるみでごまかせると思ったのであれば、当時の感覚としては変でないかも知れない。 ○いきなりの飛行機について、牧場主が「死に向かって飛ぶことが必要な時もある」と言ったのは、本人の年代からして戦時中に飛行兵の経験があったのかと思った。そういう人物がやれと励ますのなら大丈夫かという説得力と、大滝秀治氏の顔の説得力もあり、今回はそれほど変には思わなかった。 なお原作との関係では、次々起こる派手な出来事により主人公の内面が変化し、逃亡者としての覚悟が定まっていく様子が映画では見えなくなっているのが問題かと思った。ちなみに原作のヒグマは物語の行方に関わる重要キャラクターとして登場する。また映画では、わかりやすい悪として右翼の政治家を出して来たのが安易な印象で、原作本来の業界+官界の悪という社会派的な意図が薄れてしまっている。 登場人物では中野良子さんの、主人公を助けるために騎馬で駆けつけるヒロイン像が格好いい。濡れ場がいいかどうかは別として、「あなたが好きだから」とか父親に抱きつくとかの直情的な場面は好きだ。なお警察を阻止するために肌を露出したのは、原作でヒグマ除けとして言及された風習(ホパラタ)の応用と思われる。 そのほか、牧場のTVの上にクマの木彫りが置いてあったが、北海道ではどこの家にもこれがあるのか。また情の深い街娼の場面は、立川が基地の街だった頃の風情を出していたようだった。点数は、原作を6点として映画は落としておく。 【かっぱ堰】さん [インターネット(邦画)] 4点(2024-12-28 19:29:58)
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