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《ネタバレ》 都会で洗練された生活を送る黒人のカメラマン、クリス。だが、彼には一つの悩みの種があった。それは三か月前から付き合っている白人の美しい彼女ローズとのこと。まだまだ社会に根深く残る人種差別問題は、彼らの関係にも小さくない影を落としていた。そしてそれは、田舎で夫婦水入らずの暮らしを送っているローズの両親を訪ねたことでより強固に彼の前に立ちはだかる。表面上は歓迎してくれる両親だったが、言葉の端々に微妙な感情が孕まれているのを敏感に感じ取るクリス。それは次の日開催された友人たちとのパーティーで一気に噴出してくるのだった――。意味ありげな微笑を浮かべる黒人使用人、あからさまな敵意を剥き出しにしてくる彼女の弟、そして好奇の目でクリスを見つめてくるパーティの客人たち…。いったいこの家にはどんな秘密が隠されているというのか?まるで操り人形のようにふるまう不気味な黒人たちの本当の意図とは?そして、クリスが心に抱え込む幼少期のトラウマとは?あくまで良質なホラーとして制作されながらも、そこに人種差別問題を絶妙に絡めたおかげでまさかのアカデミー脚本賞を受賞したという本作、なかなか興味深く鑑賞させていただきました。この監督の観客への不安感の煽り方は抜群に巧い!なんなんですか、この実家のいや~~~な感じの空気感は。こんな息苦しい実家、たとえ人種のどーのこーのがなくても絶対に帰りたくない(笑)。本作が優れているのは、この黒人と白人の間に未だわだかまる意識や価値観のずれ、お互いへの不信感をホラーのベースとしているところ。今もアメリカ社会の中に歴然と存在するそんな強大な壁を巧くホラーとして昇華させている。見事なセンスというしかありません。そんな社会問題をベースとしていながらも、ちゃんと一級のホラー/スリラーとしても最後まで面白く観られるのも素晴らしいですね。惜しいのは、肝心のことの真相があまりにも荒唐無稽なSFになってしまったところ。それまでずっとリアルな世界観を構築していたのに、最後で少々バランスが崩れてしまったような気がしなくもない。とはいえなかなか見応え充分な良質のエンタメ映画でありました。7点!
【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-01-12 22:43:01)
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