ビューティフル・ボーイ(2018) の かたゆき さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ヒ行
 > ビューティフル・ボーイ(2018)
 > かたゆきさんのレビュー
ビューティフル・ボーイ(2018) の かたゆき さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ビューティフル・ボーイ(2018)
製作国
上映時間120分
劇場公開日 2019-04-12
ジャンルドラマ,ファミリー,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 息子を見ていると時々不思議に思うんです、「いったいこの子は誰だろう」って――。ニックとその父デヴィッドは何処にでもいるような平凡な親子。離婚した実の母はNYで暮らし、今は新しい母親とまだ幼い弟たちと暮らしている。デヴィッド・ボウイやニルヴァーナをこよなく愛し、持ち前の頭の良さから名門大学へと進学することが決まっていたニック。これから無限の可能性を秘めた充実した未来が待っているはずだった。そう、その薬と出会ってしまうまでは――。始まりは害のないマリファナからだった。そこからニックは、コカイン・LSD・ヘロイン・覚醒剤と瞬く間に手を出し、最後は強い依存性を持つという強力なドラッグ“クリスタル・メス”へと手を出してしまうのだった。当然私生活にも影響をきたし、大学進学は延期、家庭内は荒み、ニックはとうとう幼い弟の貯金にまで手を出してしまう。辛抱強く彼を見守ってきた父デヴィッドも手をつけられなくなり、仕方なくニックを施設へと預けることに。だが、ドラッグは予想以上に彼の身体や神経を蝕んでいて……。実話を基に、ドラッグによって人生を破壊されてしまった親子の葛藤と哀しみを淡々と描いたヒューマン・ドラマ。元は純粋無垢な青年ながら心の弱さから瞬く間に堕ちてゆく息子を演じるのは人気若手俳優ティモシー・シャラメ、息子を献身的に見守りながらも次第に神経を擦り減らしてゆく父親役には実力派俳優スティーブ・カレル。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、これが予想外に重く切ない物語でありました。何度も更生を誓いながらもその度に周りの人間を裏切り続けどんどんと地獄に堕ちていってることに自分で気づいていながらそれでもドラッグを止められない息子の姿に、この悪魔の薬の恐ろしさを改めて知る思いでした。そんな息子に何度も傷つけられながらそれでもなお信じようとする父親の気持ちも痛いほど分かり、胸が絞めつけられます。ときおり差し挟まれるまだ幼かったころの親子の幸せな姿がまた切ない。警察沙汰を起こし、もはやどん底のニックからの悲痛な電話に対して、「駄目だ、もう救えない。自分で人生を立て直してくれ」と言わざるを得なかった父の言葉には思わず涙してしまいました。そんな父親の気持ちを踏みにじるように、新しい薬欲しさに自宅へと盗みに入る息子。逃げ出した彼を追って車を出した継母が、途中で泣きながら追うのを諦めるシーンは強く胸に刺さります。とても重いお話ではありますが、胸を打たずにはいられない優れた作品でありました。
かたゆきさん [DVD(字幕)] 8点(2020-01-27 02:33:48)(良:1票)
かたゆき さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-26ザ・キラー7レビュー6.40点
バービー(2023)5レビュー6.76点
2024-04-20ブラックアダム5レビュー6.72点
2024-04-13エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス3レビュー5.72点
2024-04-10すずめの戸締まり7レビュー6.54点
2024-04-06月の満ち欠け6レビュー5.60点
2024-04-03ハウス・バウンド6レビュー6.00点
2024-03-30あのこと5レビュー5.00点
2024-03-30ウェディング・ハイ6レビュー5.71点
2024-03-23ベネデッタ8レビュー6.50点
ビューティフル・ボーイ(2018)のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS