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《ネタバレ》 1897年、とある帆船が50個の謎の木箱を積んで、ルーマニアから英国へと出発する。だが一か月後、英国の海岸で座礁したその船には誰も乗っていなかった。船の名は、デメテル号。残されていたものは、船長が記した数週間にも及ぶ航海日誌。これはその日誌を基に描かれた物語である――。これまで映画や小説、漫画やアニメ、果てはゲームにまで様々な影響を与えてきた怪奇ホラー小説の古典、ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』。もはや説明の必要のない超有名なこの小説の第7章「デメテル号船長の航海日誌」にのみ焦点を絞って映画化したのが本作。監督は、『スケアリーストーリーズ/怖い本』や『ジェーン・ドウの解剖』などでスマッシュヒットを飛ばしてきた新進気鋭のホラー監督アンドレ・ウーヴレダル。題材からも分かる通り、もう超が何個もつきそうなくらい超超超オーソドックスなホラー映画なので、もちろん新しい部分は一切ありません。が、そこはセンスでならしてきたエンタメ映画界の俊英、ツボを押さえた演出がバッチリ決まっているなかなかの佳品でございました。一から丸ごと一隻造ったという木造の小さな帆船の中で繰り広げられる、おどろおどろしいストーリーはやはり楽しい。まぁベタっちゃベタですけど、ここまでベタを貫き通してくれたらもはや清々しいですわ(笑)。コンプラやポリコレなんてゆう窮屈で退屈な代物なんて存在しなかった時代の古典だけあって、その容赦のない展開はさすがですね。今の時代、9歳の子供が全身火だるまになって焼死するシーンなんて誰もやりたがらないだろうけど、それを敢えて逃げず、ここまでちゃんと映像化してくれたウーヴレダル監督に素直に拍手!黒焦げになった子供の遺体が海に沈んでいくシーンは最近じゃ観られない暗鬱な美しさに満ちた名シーンでした。途中で意識を取り戻すドラキュラの食料用に詰まれていた女性もミステリアスな魅力に満ちていて大変グッド。徐々に狂ってゆく船長の不気味さも印象的。ただ、それ以外のキャラ(主人公含む)がいまいち魅力的でなかったのが残念だったかな。あと、後半に姿を現したドラキュラがいかにもなコウモリ怪人だったのも評価が分かれるところ。自分はもう少し見せない恐怖を貫いてほしかったような気がしなくもない。とは言え、ほとんどCGで描かれたうねるような海面描写もキレイだったし、いかにも年季の入った木造船の美術もリアルだったし、なかなか面白かった!6点!
【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 6点(2024-08-08 10:43:56)
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