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《ネタバレ》 カフカとストローブ=ユイレ(以下SH)の親和性は非常に高い。SHのショットがカフカの小説世界を心地よく立体化してくれる。カフカ特有のもどかしさや、はたまた根拠のない楽天的感情さえもSHは映像にして見せてくれた。画面作りとしてはいつもの彼らの映画と同じだ。つまり練りに練ったであろう構図と人物の印象的な配置を長いフィックスショットで見せるというスタイルに変わりはない。しかしこの映画には彼らの他作品にはあまり感じられなかったリズムがあるように思う。それはカフカの紡ぐ文章のリズムに呼応するようにして生みだされたものではないだろうか。いずれにしろ126分という短くはない時間、私の視線は画面に吸い寄せられ続けた。ラスト、車窓を流れる景色を延々と捉えるシーンで私の心は主人公カールと同化した。絶望も希望も流れ去って、ただ生活だけが眼前に横たわっていた。
【吉田善作】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-12-27 00:01:54)
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