秀子の車掌さん の kei さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ヒ行
 > 秀子の車掌さん
 > keiさんのレビュー
秀子の車掌さん の kei さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 秀子の車掌さん
製作国
上映時間54分
劇場公開日 1941-09-17
ジャンルドラマ,モノクロ映画,小説の映画化
レビュー情報
ネット動画での映画鑑賞はあまり好まない派ながらもつい先日高峰秀子による「わたしの渡世日記」を読了したばかりであるが故にこのタイトルが目に入った直後に押してしまっていた。あとでDVD化はまだされていないということを知って、こうした「要ビデオデッキ」作品群はどんなクオリティであれありがたく観るべきだと変節もしてみたり。

邦画トーキー初期作品を数本まとめて鑑賞させてもらえる機会に恵まれた際に島津保次郎、五所平之助、衣笠貞之助といった名に触れることができ、この時代「庶民劇」というジャンルが存在していたということを知ったのは割と最近のこと。本作はまさにその流れの末期にあたる作品なのかもと考えたりもしながら鑑賞していた。公開が真珠湾攻撃の直前という時期でもあり、その世相はほのぼのとした話の筋の中にもどことはなしににじみ出てしまっている。検閲という語彙やその世知辛い皮肉な話の運びといい。ああ、そういや「藤原鶏太」という聴きなれない配役の名に遭遇したのもこれに関連があった…。

とはいえ成瀬+高峰ペアの栄えある第一本目という観点も重要。鑑賞後には前述の著書から今一度彼女が書く「成瀬評」の部分を探しだして読み返してみたりもした。その文章は愛憎相まみえるといった感じのもので、そのすべてが本作から始まったんだと思うと感慨深い。いや、正確にはこれよりも前の彼女の子役時代も経ているとのことで、ある日彼女がその頃の印象を監督本人に尋ねたところ「こましゃくれて、イヤな子だった、ウフフ」と返され、その後枯れのことを「イジワルジイサン」と呼ぶことにしたという下りがまさにその様子をうまく現している。このペア作品を時系列に上演してくれる映画祭なんかが開催されたら行っちゃうね、間違いなく。

個人的なツボは彼女自身から約20年後の出演作タイトルが口にされた時。木下惠介監督と組むのは本作からまだ10年先、戦後のこと。
keiさん [インターネット(字幕)] 5点(2015-11-14 10:08:57)
kei さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2018-06-11蜂の巣の子供たち6レビュー3.50点
2016-11-01限りなき前進6レビュー6.66点
2016-10-27妖刀物語 花の吉原百人斬り7レビュー8.00点
2016-10-09海街diary7レビュー6.62点
2016-10-09火垂6レビュー4.75点
2016-10-09プレデター7レビュー6.97点
2016-03-29ホーリー・マウンテン7レビュー5.88点
2016-03-07パルプ・フィクション7レビュー7.70点
2015-11-29ハウス/HOUSE(1977)6レビュー6.04点
2015-11-14花嫁の寝言6レビュー6.00点
秀子の車掌さんのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS