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黒澤最後期作品としてなんとなくは知っていたこのタイトル、正しくは企画段階までのぼっていたところ彼が没したため脚本のみが残されたという位置づけだった。黒澤「脚本のみ」作品としては木下惠介監督による「肖像」以来。彼が撮ったらこうなったんではないか…と努力を重ねている感がにじみ出ていたが、時代を問わぬ日本という国の良さを綺麗にその映像と音でまとめてくれていた。木立の間からの鳥や虫の声が心地よく響く。
彼の存命中にキャスティングはどの程度固まっていたのだろうか、wikipediaからはその部分は読み取れないがなかなかの高密度。典型的な殺陣だけにあらず、長尺の剣術鍛錬シーンを見事に演じていたのは寺尾聡。彼の魅力はその柔らかな声とともに思う存分引き出されていたように思う。そしてまぁ、宮崎美子の清々しいこと。この時彼女はいったいいくつだったのだろうと詮索してみると不惑を回っており、そしてその横で出番が少ないながらも輝きを放っていた原田美枝子も彼女と同い年だったときて、その事実に驚愕させらる。個人的には涼子先生と純とのからみが観たかったところではあるが(笑) ただ三船史郎は声だけが大きかった印象が…。 「なにをしたかではなく、なんのためにしたか。」 是非原作も手にしてみたい。 【kei】さん [DVD(邦画)] 6点(2014-05-10 09:23:53)
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