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《ネタバレ》 完全ネタバレです。映画未見者お断り。間違いなく名作なので、本編を見て下さい。
「すてきね。」 百合子の短い何の変哲も無い言葉に、ヒロキは、ふだんはうっとうしく感じてるがそれは表面だけで、自分は母親から愛されていて、自分なりに母を愛していること、そのことが母親を亡くした百合子にはたまらなく素晴らしいことで、それがわかるから「そんなことはないよ」などという照れ隠しのような否定すら百合子を傷つけることだと何も言えなくなる。短い台詞と二人の表情に、ことはでは言い尽くせないほどの思いを交錯させる。 「いけない。」 百合子の極めつきのセリフ。暖かい父母の愛に包まれた大きな寺の息子であるあなたと、母を亡くしたあと男手ひとつで育ててくれた父も病に倒れて、日々の生活の糧にすら苦しんでいる私とでは、住んでる世界が違う。あなたが見てくれた私は、夕日射す教室で、一人ピアノを弾く少女。どうか今は、私のそんなきれいな面だけを見ていて。あなたがこちら側の面を見て、悲しい思いをするのが私にはとても悲しいから。 これも短い一言に、あふれ出す思いが詰まっている。 この作品のほんの一コマを切り取ってみても、もう初老の私の涙腺が緩んでしまう作品。 【ぐっちー】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-10-23 08:38:59)(良:3票)
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