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《ネタバレ》 遠く離れた田舎に独り暮らす疎遠な母親(少年達にとっては祖母)の元に、双子の少年を託した母親の動向が、その後全く分からないのは、あくまで父親の提唱で双子が書き始めた日記文に拠るもので、子供の知りうる範囲の主観的記述による日常の断片が綴られている設定のものだから。一見、強欲で醜悪に映る祖母が何故そう成ってしまったか、少年達は何も知らないし、ただ、意地悪く接してくる現象としてのおばあさんを肌で認識しているに過ぎない。少年達の不潔な服を洗濯してやり、一緒のフロにも誘った女の奇態。憐憫からゴム長靴をただで二人分も呉れた、心優しいユダヤ人の店主を、その女は残忍にも、ユダヤ人狩り隊列に教えてしまう。それは少年達には許し難く、復讐されて然るべき対象に変えた。
戦争は少年達たちから親と穏やかな日常を奪い、殺伐とした弱肉強食の世界へと変えたと感じた事だろう。母恋しさや、痛み、寒さ、欠乏感に耐え、生き抜くには心身ともに強靭であらねばならぬと、お互いを打ち合うなど、常軌を逸した訓練を始める。彼等をかくも異様な心理状態に追い詰めて行ったものこそ、この映画が表現したかった本質なのだ。映画が映し出す状況は終始、陰惨なのに、達観したかの様な少年達の心境と、簡潔で乾いた虚飾のない描写は、削ぎ落とした後に残る、ミニマムの美学に通じ、美しいと感じさせた。 【DADA】さん [インターネット(字幕)] 8点(2017-05-19 23:23:23)
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