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レビュー情報
《ネタバレ》 ちょっと珍しい室町時代を舞台にした時代もの…ではあるのですが、お話の内容というのは本質的には非常にシンプルな(で実際の成り行きも最初に最後まで見通せてしまうだろう…的な)モノではあるので、これもやはり「ナニが」というよりは「どう」語られるか、という、より見映えその他の部分に力点を置いて鑑賞すべき作品には思えますね。その意味では何よりもまず第一に、かなり気合の入った大掛かりな邦画だった様には思えていて、その見た目等のクオリティというのはワリと隅々まで行き届いてハイレベルだったな…と思いますね。他方、重ねて、お話の内容自体はだいぶシンプルなのですが、画づくり自体の感じは結構こだわって薄汚れて荒んで=観易いというよりは逆、みたいな感じでもあり、また台詞による説明や・そもそも台詞の言葉遣い自体も(これも多分こだわりとして)ごく古めかしい=ちょっと分り易くはないモノになっていたりもして、個人的には、最も一般的な(こーいう大規模な)邦画の娯楽作よりは、より芸術的というか作家性を感じられるというか私の好みには近い方の全体の質感ではあったかと思ったりもしますね。
もう一点、当然の如くに時代劇的…と言いつつも、私としては、より正確には(更に)西部劇的…みたいな感覚をも覚えられましたのですね⇒音楽なんかが率直に完全にソッチ系のヤツだったよな…と。タイトル通り「無頼」が主人公・中心人物なので、そこについては確かに西部劇の方がむしろ近いのかも…と思ったりもしますが(⇒侍って、なんだかんだ、やっぱ秩序立って=畏まってますからね)とは言え特に後半は、そんな西部劇みたいに寂寥・寂寞にニヒルをカマす…みたいな感じでもなく、もっと脂切って血腥い「濃ゆい」物語にはなってゆくのですよね。取り分け、またなんだかんだ西部劇でも必ず中心に据えられている、遂にその暴力がもたらす「カタルシス」というモノ自体は、今作では(通常の西部劇のソレよりも)遥かに強大なモノになっていた、かとは思うのですね⇒暴力でしか世界を動かせなかった時代に、より大勢でそれをつくり上げて+更にはそれを大勢で「共有」する行為のそのモノがまたカタルシスとなる…コトをも描き出して居る、と。ただ、結局のトコロでは今作は、先立つ数々の優れた西部劇と同じく、最後にはその暴力によるカタルシスを「礼賛」するものではない…というコトもまた、確かに示してくれてはいたとも思えては居りまして、その意味でもごくオーソドックスな=シンプルに共感が可能で+それ故に普遍的である、と言って好いだろうお話であったかな、と思います。再度、端的な映画としての(物理的な)クオリティは全編通して非常に申し分の無いものだったし、内容もごく「王道」であったな…と⇒クライマックスの大泉洋にはかなり感情移入できたな…と⇒素直に楽しめたな…と感じました。オススメできます。 【Yuki2Invy】さん [映画館(邦画)] 7点(2025-01-26 12:58:35)《更新》
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