動くな、死ね、甦れ! の camuson さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ウ行
 > 動くな、死ね、甦れ!
 > camusonさんのレビュー
動くな、死ね、甦れ! の camuson さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 動くな、死ね、甦れ!
製作国
上映時間105分
劇場公開日 1995-03-18
ジャンルドラマ,モノクロ映画
レビュー情報
《ネタバレ》 前情報がない状態で見たのですが、白黒映画で、かつ、フィルムの痛みが激しいことから、1930~40 年代の作品と思いこんで見ていました。後で調べたところ、1989年と比較的新しい作品でした。作者(1935年生まれ)の幼少時の風景や空気を再現するために、その時代に入り込んで撮影したかのように仕立てる。トリッキーとも取れますが、それを凌駕する、映像の凄みを感じました。主人公の少年が住むのは、炭坑と収容所の村。地面はぬかるんで、泥の上に人が集まり暮らしていて、舗装された道はなく、自動車もなく、辛うじて他の町に通じる鉄道があるだけです。住人は、汚れた長屋に、寄り集まって暮らしており、人は多く、叫び声や喧噪はあれど、活気がまるでない。この「不毛」感は、凄いです。主人公も通っている学校は意外と立派でした。公権力の出先として力を入れた結果でしょうか。村の外れでは、抑留された日本兵が強制労働をさせられていて、よさこい節や、炭坑節が聞こえてきます。おそらく作者の望郷には欠かせないものなのでしょう。よどんだ世界の中で、どこか優雅で達観した響きを感じました。そんな中、主人公の少年は、鬱屈感からか、学校のトイレの汚物槽にイースト菌を入れて溢れさせたり、列車を脱線させたりの問題を起こします。その都度、一緒の長屋に住む少女に助けられます。この少女は、非常に賢く、したたかに生活に順応していて、なかなかの人物だなあと感心してしまいました。この作品の中では、唯一の光と言える存在です。時代の停滞した陰鬱な空気を再現して、フィルムに封じ込めたことは評価できるのですが、娯楽としてみると、正直、それほど面白くはないです。娯楽性の高いロシア映画も見てみたくなりました。
camusonさん [映画館(字幕)] 6点(2024-12-04 20:16:00)★《新規》★
camuson さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-12-04動くな、死ね、甦れ!6レビュー7.29点
エクソシスト ディレクターズカット版7レビュー5.60点
それでもボクはやってない8レビュー7.60点
勝手にしやがれ5レビュー6.36点
二十四の瞳(1954)5レビュー7.97点
2024-10-10雨月物語8レビュー7.40点
2024-10-10おろち2レビュー5.70点
2024-10-10リンダ リンダ リンダ9レビュー6.81点
2024-10-104ヶ月、3週と2日7レビュー6.97点
2024-10-10里見八犬伝(1983)4レビュー6.61点
動くな、死ね、甦れ!のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS