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まずはこれがリンチ作品だとかの以前に実際にあったことだったと言うことに同情する。この映画を見れば我々「普通の人間」の心がどれだけ汚いかが理解できる。監督はこの「普通の人間」の汚さを上手く描写している。アルコール依存症の見世物興行師の多少ブルブル震えた様な上手い演技。興行師はエレファントマンを強引に働かせながらも、どこかで彼の醜い姿の「悲惨さ」に疲れ、見に来る一般大衆の「汚い好奇心」に飽きれ、そしてそれで「金商売」をする汚い自分自身に嫌悪を感じて酒を飲み続けている・・・そんな哀しい世界観も読み取れる。「奇形は不気味」だとする映像表現、音楽も前提にあり、エレファントマンを前にして驚く人達の描写も興味深い。イジメ描写がとにかく凄くって、これが映画だと思うとおもわず笑ってしまったシーンもある。終始に、とことん惨く絶望的な世界観の中、エレファントマンが神について語る純粋さは感動を与える。この映画は、どこか日本人発想的な哀しさを感じる。エレファントマン以外の登場人物に視点を映して考えてみると「差別はしてはいけない」、「見世物はいけない」と言われている世間で、人間の持つ基本的な「差別心」、未知に対する「好奇心」、「金欲」をリンチ作品が見せつけて問い掛けている作品だとも考えられる。
【2003】さん 8点(2003-01-04 12:04:51)
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