赤ひげ の よしのぶ さんのクチコミ・感想

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赤ひげ の よしのぶ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 赤ひげ
製作国
上映時間185分
劇場公開日 1965-04-03
ジャンルドラマ,医学もの,時代劇,モノクロ映画,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 「貧困+病気=不幸」だが、不幸の様子は人によって様々。ここで描かれる不幸模様は通り一遍のものではなく、大不幸と呼ぶべきもの。底辺に生きる人々の姿を描く事で人間の真の姿、エゴ、死の荘厳さ、人と人の絆、人間愛等を浮き彫りにする。不幸だから可哀相という皮相的な描き方はしていない。人間が自分の力ではどうすることもできない運命や不幸にみまわれた時、それをどう受容するか、どう考えるか、どう行動するか、いくつかの切り口で見せてくれる。不幸には多面性がある。不幸を背負った者にしかわからない事、味わえないものがある。不幸になって初めて幸福だった自分を知る事もある。もしかしたら不幸は、人間らしくあれと神様がお授けになったものかも知れない。不幸があってこそ偉大な人生が歩める。そんな感傷的な考えが思い浮かぶほど、考えさせられる映画。名作です。何より無駄が無いのが心地よい。例えば、おとよの着物の使い方。まさえがおとよに着物を贈る。心を病むおとよは着物を溝に捨ててしまうが、やりて婆が迎えに来て「着物がうちにいたときのぼろのまま」となじると、「私はこんな佳い着物を持っている」と服を見せる。着物一つでまさえの優しさ、おとよの病気、その回復ぶりが顕かとなる。巧いです。いちいちおとよ目元にライトが当る職人芸も満喫。気になる点もある。それは赤ひげが遊郭の用心棒を叩きのめすところ。赤ひげをスーパーマンする必要はない。人間味ある医者としての赤ひげに弟子の保本が心酔し、成長する姿を描くのが主軸。他の要素を入れず、医者物語で終始してよいと思う。他にも気になる点がある。保本が手術に立ち会い失神するが、これはまずない。保本は長崎で蘭医学を3年以上修行している。蘭方医と漢方医が覇を競いあっている時代で、蘭方医が出来て漢方医が出来ないものが外科、内科手術。手術は念入りに実施研修する。左八とおなかの挿話だが、おなかは佐八との生活を「幸せすぎて怖い」と感じていたところに地震が起きて、罪意識から佐八の許を去る。ミステリアスな展開だが、再会後おなかは自責の念にかられ「強く抱いて」と佐八に短刀を突かせて自死する。乳呑児を持つ母が自殺するとは思えないし、最愛の男に殺人をさせるのも疑問。相手を苦しめるだけ。看病日記だが当時は全て候文で、「おとよははっきり意識を回復した」等と口語では書かない。これは完全なミス。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 9点(2012-07-12 01:44:40)
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