君の名は。(2016) の 鱗歌 さんのクチコミ・感想

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君の名は。(2016) の 鱗歌 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 君の名は。(2016)
製作国
上映時間106分
劇場公開日 2016-08-26
ジャンルSF,ラブストーリー,アニメ,青春もの
レビュー情報
《ネタバレ》 阪神淡路大震災、東日本大震災という大災厄を前にしながらその当事者ではなかった私のような人間が持つ、3つの「思い」。いやそれは、大災厄に限られる訳ではなく、凶悪な殺人事件のニュースを目にして何ともやり切れない気持ちになった時にも持つ「思い」なのだけど。いずれにせよ、その3つの「思い」が、この作品にも色濃く反映されているのを感じます。
1つ目の「思い」とは・・・死んでいった人たちの無念や苦しさは如何ばかりか、と、つい想像してしまうこと。もし自分がその死んでいったひと本人であったなら、と。到底、生きている自分には想像などし切れないにも関わらず、ただ感じる、息苦しい思い。この作品の物語では、ズバリ、実際に他人に成り代わってしまうという設定が用いられ、しかも主人公のひとり(男)は、成り代わりえたもうひとりがすでに死んでいるという事実を突きつけられる。他人の死を自分事として認識することすらもできたはずの自分、にもかかわらず、そのチャンスは失われ、すべてはもう終わっていた、という事実。その虚しさ。
2つ目は・・・すでに終わってしまった、もはや取返しがつかない事であるのがわかっていながら、つい、本当にもうどうにもならないのか、何とかなるんじゃないのか、と考えてしまうこと。この作品は、ファンタジーとして敢えてそこに夢を紡いで見せる。本来ならばあり得ない、最後のチャンスを。
そして3つ目は・・・そのように悲しみや憤りを感じていたにも関わらず、結局は、過去のこととして忘却していってしまう自分に、気づくこと。この3つ目の点にまで踏み込んだ本作だからこそ、我々の胸に痛切に迫ってくるものがあります。
作品を通じて、どのようにあの震災と向き合うか、多くのクリエイターたちが悩み、苦しみ、格闘してきたんだと思いますが、震災への「思い」にまで真摯に踏み込んでみせた本作、しっかり感動させていただきました。
鱗歌さん [映画館(邦画)] 8点(2016-11-21 22:28:20)(良:3票)
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