灰とダイヤモンド の S&S さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ハ行
 > 灰とダイヤモンド
 > S&Sさんのレビュー
灰とダイヤモンド の S&S さんのクチコミ・感想
作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 第二次世界大戦での連合国戦勝日である1945年5月8日の出来事。NYやロンドンでは大群衆が繰り出してのお祭り騒ぎだったのに、このポーランドでの異様なまでの冷静さと静けさはいったい何なんだろう。まだ正式に共産主義政権が成立したわけではないが、人々が自分たちの国の運命になんの希望も持てなくなっているのが痛々しい。 刹那的に生きてきたマチェクが、恋に落ちて未来を考えようとした途端に悲惨な死を迎えることになるのはなんという皮肉なことか。廃墟の教会でマチェクとクリスチナが教会で話すシーン、カメラの前景にアンチ・クライストの象徴でもある逆さまになった十字架のキリスト像を映すことで、もうポーランドには神はいないんだというA・ワイダの叫びが聞こえる様な気がします。 厳しい検閲制度があった当時ですから、いろいろと意味深なメタファーが散りばめられているけど、そこには詩的なセンスを感じさせられるシーンが多々あります。夜が明けて朝日が室内に差し込んできますが、そのあまりに白っぽい光線は屋外の風景をまったく見えなくしています。ラスト・ダンスを終えてその光の中に入ってゆくカップルたちの虚ろな表情、これぞ戦後のポーランドがたどった歴史のカリカチュアです。 Z・チブルスキー、若死にしちゃったけれど素晴らしい俳優でまさにポーランドのJ・ディーンです。それにしても、J・ディーンをはじめJ・P・ベルモンドや石原裕次郎などこの当時各国にチブルスキーと同じ様なタイプのスターがいたというのは面白いですね。ベルモンド以外はみんな早死にしちゃいましたけど。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2013-05-04 22:23:37)
S&S さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-03-26影の軍隊(1969)7レビュー6.60点
2024-03-23翔んだカップル オリジナル版5レビュー5.87点
2024-03-20300 <スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~5レビュー5.34点
2024-03-17マシンガン・パニック4レビュー3.85点
2024-03-14ランナーランナー5レビュー4.80点
2024-03-11ガンズ・アキンボ5レビュー6.20点
2024-03-08バイオレント・サタデー3レビュー4.91点
2024-03-05大菩薩峠 第二部5レビュー6.33点
2024-03-02バタアシ金魚8レビュー5.81点
2024-02-29PARTY74レビュー4.97点
灰とダイヤモンドのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS