疑惑(1982) の 皮マン さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > キ行
 > 疑惑(1982)
 > 皮マンさんのレビュー
疑惑(1982) の 皮マン さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 疑惑(1982)
製作国
上映時間127分
劇場公開日 1982-09-18
ジャンルドラマ,サスペンス,法廷もの,犯罪もの,ミステリー,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 本作には大勢の役者がカメオ出演する。その顔ぶれと結果を見ると野村監督は佇まいがその役に見える役者をキャスティングしさえすれば、あとはろくに演技指導しなくていいとお考えのように思える。役者の力量の差が思い切り顕わになって、演技レベルがバラバラになってしまっている。総じてベテラン勢がさすがの演技を見せていて、特にみごとな松村達雄・丹波哲郎・山田五十鈴あたりは自分にあわせて適当に台詞をアレンジしていると思われる。若手では鹿賀丈史が特にはまり役で芝居も上手い。千葉県知事の人もボロの出ないチョイ役のせいもあってかなかなかいい。残念なのはまず岩下志麻。得体の知れない人物造形に説得力を持たせるだけの深みはなく、記号的演技に終始している。そして主役の桃井が柄本明や新田昌玄と並ぶ下手の筆頭格なのはまずい。ギャーと叫ぶ大仰な演技からタバコに火を付ける小さな演技まで、よくこれでオーケーが出たなというカットが続出する。彼女の芝居を支持している方々には申し訳ないが、台詞回しに手一杯で身体の使い方に意識を向けることが出来ないように見える。自然な演技が難しい雑な脚本なので全て桃井のせいにするのは酷かもしれないし、そもそも素はあんなヒステリックな人じゃないんだろう。演技指導は黒澤明みたいに厳しければいいってものではないが、主役級のまずい芝居を見ると投げやりな監督の責任はやはり大きいと言わざるを得ない。そして本作には演技指導の問題とは別にシナリオ上の大穴がある。桃井は事故の時のダンナの様子を知っているわけだから、本筋であるダンナの無理心中の線を初めから訴えるのが当然だろう。彼女は六法全書まで持ち出して無実を勝ち取ろうとしているくらいなのだから。岩下が桃井にそこらへんを聞き取る描写がないのもあまりにも不自然だ。時に屋上屋を重ねるもっさりした展開といい美学の無いカメラワークといい火曜ワイド劇場かなんかのテレビドラマみたいな安い造作。よって飯でも食いながら横目で見るのにふさわしい作品と考える。
皮マンさん [DVD(邦画)] 1点(2017-01-02 12:18:14)
皮マン さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-01-15フロッグ9レビュー7.15点
アンテベラム10レビュー7.66点
2023-05-20NOPE/ノープ10レビュー6.32点
2022-08-30マリアンヌ6レビュー6.74点
2022-06-15ライトハウス6レビュー6.66点
2022-06-12女中ッ子4レビュー7.57点
2022-01-04ビューティフル・マインド0レビュー7.13点
2021-12-06ゴーストランドの惨劇1レビュー6.00点
2021-12-03静かなる叫び1レビュー5.42点
2021-09-13ともしび(2017)5レビュー5.00点
疑惑(1982)のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS