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<ネタバレ>世間での評価はそれなりに高く、泣ける映画の呼び声も高い様ですが、私は全く泣けませんでした。ただしストーリーは別として主演の中井貴一・共演の佐藤浩一ほか他の役者さん方の演技はとてもよかったと思います。(以下ネタバレあり)ストーリー上、もっとも気になったのは、中井貴一演じる吉村貫一郎のもっている美学がピンときませんでした。彼は己の家族を守るがため守銭奴の様に振る舞い、家族を想い生きるために人を斬るのか、尊皇攘夷のために自分の義を通すために人を斬るのかはっきりしません。最後には、武士としての美学を貫き通すかの様に勤皇の志士として自ら散って逝きます。彼の息子もまた、父の旅立ちの時は、「残された家族を守る」と父親に誓いながら、帰れぬと覚悟しながらも、父への想いを押さえきれず、五稜郭での戦に身を投じてしまいます。彼らの振るまいが、あまりにも身勝手に感じてしまうのは現代の感覚でしか無いのかもしれませんが、あそこまで型にはまった、武士の美学を貫く最期を見せられると、家族と郷を想い、あえて新撰組に入隊した男という、面白みのある設定が台無しに感じてしまいます。原作ではもっと深く描かれているのかもしれませんが、映画としてはちょっと失敗ではと思ってしまいました。とは言え、決戦シーンでの一人突撃シーンは単純に格好良いです。その後の満身創痍での独白シーンは冗長ですが・・・。[良:1票]