アイルランドにおいては元来裕福な家系であったレドモンド・バリ .. >(続きを読む)
アイルランドにおいては元来裕福な家系であったレドモンド・バリーの栄華と凋落を絢爛豪華に描いたあまりにも美しい逸品。2001年宇宙の旅、時計仕掛けのオレンジと謎と暗喩に満ちた未来世界を過激に提示したキューブリックが18世紀貴族の世界をかくも丹念に描ききったその才能に改めて驚嘆する。上映時間は3時間強あるが、アイルランドの緑の草原に赤を基調とした英国軍隊の行進、貴族社会の豪華な衣装やセット(ドラえもんさんのいうとおりワンシーン毎がまさに絵画のごとし)とその裏に蠢くドロドロとした愛憎、バリーが人生の岐路に差し掛かったときに行われる1対1の決闘シーンなど見所満載で飽きることはない。それと、やはり本作でも音楽の使い方が素晴らしい。余談だが本作を見た黒澤明はそのあまりの完璧さに衝撃をうけキューブリック本人に賞賛の手紙を書いたという。