M・ケイン演じる先生は、毎夜、孤児たちに「メインの王・・・」 .. >(続きを読む)
M・ケイン演じる先生は、毎夜、孤児たちに「メインの王・・・」と語りかけ、ファジーは人にもらわれたと思い込ませ、孤児院の管理者達にはホーナーは一流の大学出の立派な医者だと説明し、そして、ホーマーの心臓は・・・。本作にはいくつもの嘘が語られる。しかし、それはあくまで優しさに裏打ちされたものであり、そこでは例えば「嘘はついてはいけません」とかいう教条的なおしつけ、あるいは一見普遍的と思われる倫理や規則などより、人生においてはもっと大切なことがあるのだというメッセージが込められているのであり、それゆえに小屋に張られてあった規則(サイダー・ハウス・ルール)を燃やす場面が象徴的に扱われているのだと思う。それとやはり映像的に大変美しく、個人的にはホーマーが初めて海を見るシーンの海の青さと砂浜の白さ、林檎園で風に吹かれて舞い散る落ち葉などがすごく印象残っている。