あまりにも有名な、スタンリー・キューブリック監督の戦争映画。 .. >(続きを読む)
あまりにも有名な、スタンリー・キューブリック監督の戦争映画。厳密に言うと「戦争映画」ではないかもしれない。時代背景は1960年代後半。泥沼化の一途を辿る「ベトナム戦争」。この映画は確かに「ベトナム戦争映画」と言えるのだけれども、物語の半分はアメリカの海兵隊訓練基地で展開する。キューブリックは色彩の明瞭な世界、左右対称の視界で「映像の神」と言われていますが、この映画では人間が「殺人兵器」へと大量生産されていく軍事訓練所と、実際に彼らが「殺し」を行う戦場の、見事なまでのコントラストを表現している。まさに神業。この2色の現実の狭間で、この映画を観る人間は「戦争のリアリティー」と「殺しの感触」を味わう。見事なまでに、計算されて構築された、無機質な世界。キューブリックは紛れもない天才です。