還暦を過ぎてなお「アクションスター」として健在でっせと自己ア .. >(続きを読む)
還暦を過ぎてなお「アクションスター」として健在でっせと自己アピールしつつ、他の出演者にも気配りと見せ場(特に、極悪非道な悪役を憎々しげに演じるエリック・ロバーツの楽しそうなこと!)を忘れない監督・主演のスタローン。・・・正直いって「映画」としては(少なくとも、ぼくには)ほとんど面白みを感じられなかったけれど(・・・申し訳ない、スライ!)、作り手の「人間味」を感じさせるという点においてどうしてもキライになれない。たぶん撮影現場も和気あいあいだったんだろうなぁ、というほのぼの感というか“ゆるさ”が画面からもにじみ出てくるあたりが、アクション映画としての緊迫感を今ひとつ欠いた要因だろう。でも、これは歌舞伎でいう「顔見世興行」みたいなものだと考えれば良いんじゃないか。CGまみれのアニメと大差ない昨今の「アクション大作」ではない本物のアクション映画を俺たちは担ってきたし、これからも担い続けるぜ! という心意気だけは旺盛なオヤジ・スター軍団に、(少しばかり苦笑させられつつ)乾杯!
ただ、ひとつ興味深かったのは、『ランボー4 最後の戦場』でも顕著だったけれど、監督としてのスタローンがここでも人間の“肉体損壊”にこだわっていることだ。銃撃で上半身が吹っ飛ぶなどのスプラッターな場面の数々は、リアリズム指向という以上にもっとフェティッシュというか、“深層心理”的なものを感じさせないか? あるいは、ステロイドの過剰摂取によって肉体改造をエスカレートさせ、一時は深刻な危機的状況すらウワサされたスタローン自身の、何らかのメンタリティが反映されているのかもしれない。彼の肉体美には、それとは裏腹な一種の“自己破壊衝動(!)”があったのじゃないか・・・とは、うがちすぎだろうか。だろうな。
ともあれ、役者はカラダ張ってなんぼじゃ! という「アクション映画」としての原典回帰を目論んだ、その意気や良し! これでピチピチの“戦闘美(少)女”を出演させてくれたなら、満点献上も辞さなかったのに・・・とは、あくまで当方の趣味のモンダイです。