オープニングから、正統派社会派ドラマっていうのが分かる作品で .. >(続きを読む)
オープニングから、正統派社会派ドラマっていうのが分かる作品で、とにかくトム・ハンクスの熱演が凄い!! どれくらい凄いかっていうと、過熱気味なまでの演技が笑っちゃうくらい凄いのよ。特に、オペラの盛り上がりと共に自己陶酔としか思えないハンクスのシークエンスは、ワシントンの弁護士が席を立つのも分かるくらい、後は一人でやっててよって感じなくらい過熱気味。比して、ゲイのテーマの象徴でもあるはずの恋人(のはず)のバンデラス=ミゲールとの絡みでは、ハンクスはいきなりトーン・ダウンしてしまう。少なくともハンクスからのアクションとリアクションだけでは、はっきり言って人種の違う兄弟か?としか思えないくらいで、エイズで苦悩するハンクスの演技が過熱気味なだけに、バンデラスとの絡みは、バンデラスの真摯さが辛うじて救っているだけで、ハンクスの呆気なさは幼稚園児の御遊戯のようで、ゲイだゲイだと連呼されても、白々しさが拭えなかった。このハンクスの演技では、とてもじゃないが、同性の恋人を愛してるようには思えない。このバランスの悪さが笑えるんだけど、テーマの重さを思えば、エイズだけに集中した方がマシだったろうな。その方が、ラストの子供シーンも活きただろうし。ゲイへの偏見まで入れたければ、少なくとも、男との絡みに引いちゃうような、あるいは、それでセールス・イメージを壊されたくない役者は選ぶべきじゃない。法廷シーンも、結局、弱いもの苛めの御涙頂戴に収まってしまって興醒め。テーマの重さは分かるけど、それだけに、ハンクスの演技のバランスの悪さが、勿体無い。