スパイ今昔物語も、当世スパイ事情も、時々の世界情勢や当時のア .. >(続きを読む)
スパイ今昔物語も、当世スパイ事情も、時々の世界情勢や当時のアメリカの大国の事情やらをも含めて、とっても私好みではある。その時には、暗黙の了解というか、国家のための必要悪であったことも、情勢が変われば、「許可があったのか」と聞く身勝手さは、多分、どこの国家も同じなんだろうが、本作は公開時期が不運だった。国を挙げて大儀を寄せ集めて挙国一致を目指そうという御偉方には、歓迎されない作品だろう。ロバート・レッドフォード主演ということは分かってはいるが、ブラッド・ピット・ファンとしては、ムカついていいのか喜ぶべきなのか、迷う一作でもある。とにかくピットが地味なのだ。ハリソン・フォードと共演した、かの「デビル」と張り合うくらい、地味である。いや、スパイなんだから派手でも困るのだが、何もここまで地味にしなくてもと、思うくらい地味なのだ。反面、そのおかげで、ピットの抑制の効いた演技を堪能することも出来たわけで、ベルリンのロデオ作戦は、ほぼピットの独壇場だった。また、「デビル」の時とは違って、脚本も配役のバランスも取れているから、筋立ても安定していて、溜飲の下がる結末に収まっている。アクション劇ではなく、心理劇である。