「オールド・ボーイ」に衝撃を受けてすぐにこの作品も手に取った .. >(続きを読む)
「オールド・ボーイ」に衝撃を受けてすぐにこの作品も手に取ったのだけれど、個人的にはこちらの方がより心に残った。「オールド・ボーイ」はきわめて寓話性が高く、またサスペンス・エンタテインメントとしても優れていたのに対し、こちらは(映画作品としての質の高さが群を抜いているというだけでなく)とても「リアル」な作品だと思う。確かにその暴力描写は過激だけれど、このような不毛で不条理な復讐の連鎖は、世界中至る所で、例えば中東やアフリカ、南米の紛争地域では日常的に見られる光景である筈(余談だけれど、以前コソボ紛争で実際に行われたリンチ殺人の事を本で読んだことがある。ここには具体的には書かないけど、その実態はこの映画以上に残虐だ)。現在の日本の様に、一応平穏な社会においても、人は知らず知らずの内に被害者になり、また加害者にもなり得る(これから貧富の格差が広がれば、それはもっと顕著になるかもしれない)。そういう意味で、この作品は韓国という国で作られた作品ではあるけれど、「世界」を描き、射抜いた傑作です。