「ビヨンド・サイレンス」もそうだったけれど、カロリーネ・リン .. >(続きを読む)
「ビヨンド・サイレンス」もそうだったけれど、カロリーネ・リンクの作品は登場人物をある程度突き放して描いているので(例えば、登場人物の嫌な面とかも淡々と映している)、ある意味感情移入しにくいし、いわゆる「泣かせ」の映画にはならない。ただ、そこで描かれる人間たちは単なる善人・悪人と色分けできない陰影・繊細さと魅力がある。「ビヨンド~」が単なる「障害者モノ」でなかったように、第二次大戦下のユダヤ人家族を主人公にした本作も、その歴史的事実よりも「人間」に焦点が置かれていて、結局この人が描きたいのは、極限的状況に置かれた夫婦の姿とか、家族の「絆」とか、そういう「人間(達)」の生み出すドラマなんだなあ、と思う。個人的にはアフリカの地でたくましく成長する少女が「ビヨンド~」の少女の姿と重なって好感が持てた。蛇足だけど、この監督の作品って裸とかベッドシーンとか出てきても、あんましイヤらしくならないのが面白い。