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<ネタバレ>デヴィッド・リーンといえば三大歴史大作ばかり取り上げられて、この作品みたいな芸術性に乏しい小作品はあまり語られることはないですけど、しなしながらシンプルでいて見事に男女の愛を浮かび上がらす本作のスタイルは特筆に値します。ベニスへと一人旅でやってきたジェーンの視点で見通される、その街の美しさ。ジェーンは確かに一人で旅をしていますが、すでにそこにはこの作品を見る観客という名の同行者がいるわけです。見ているこちらも、一緒に旅をしている様な気分になる。独身中年女性の、あのなんともいえないわがままな感じが凄くリアルだし、レナートの方も、いかにもイタリア人らしい性格でこれまたリアリティがある。そういうリアルさがあるからこそ共感が出来るし、共感が出来るからこそラストの列車でのシーンは感動する。これ以上に、こんなにも切なく、それでいて爽やかなゆきずりの愛を描く作品を私は知らない。[良:1票]