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何故か砂丘に穴を掘って、その穴の底で暮らしている女と、そこに捕らえられ幽閉生活を余儀なくされ、無駄な穴掘りを終日やらされる男との奇妙な男女関係。極限状況の中で、男はこの蟻地獄から脱出しようと再三試みるが、砂は雪崩の如く、そして岩から流れる滝のように崩れ落ちるばかり。その描写はただひたすら美しい。男は一時脱出に成功するものの、逃げ惑った挙句の果て逆戻りしてしまう。しかし、都会で日々の暮らしをする事と何が違うと言うのか?戸籍や様々な証明書といった管理社会に対する疑問と、人間が生きていく上での営みという根源的な意味を、勅使河原宏監督はこの不条理劇を通して問いかけているように思う。キャストとスタッフの名前に並べて押印しているという、ユニークなオープニング・タイトルも象徴的で、まさに日本映画史に残る傑作だと言える。[良:1票]