過去・未来を問わず、一瞬にして自由に時間移動できる事は、まさ .. >(続きを読む)
過去・未来を問わず、一瞬にして自由に時間移動できる事は、まさに人間の究極の夢であり願望でもある。その驚異の体験をしているにもかかわらず、何故か主人公(G・ピアース)の表情は冷静そのもの。やはりここは、例えば「ジュラシック・パーク」で初めて恐竜に遭遇した時のL・ダーンの表情を見習うべきで、或いは「コンタクト」の異空間でのJ・フォスターの陶酔したような表情こそが本来の在るべき姿なのではないだろうか。この作品の最大の欠陥は、本来思い入れたっぷりに描くべきところを、まるでタイムマシンで次々と瞬間移動しているかのように、個々のエピソードと画像を流してしまっている点にある。「2001年宇宙の旅」での導入部からモノリスが登場するまでの、荒涼とした太古の自然をじっくりと収めた撮影の素晴らしさを思い浮かべてみれば、本作の(超)未来の自然描写などほとんど一瞬でしかないのは、上映時間の問題もあるのだろうが、S・ウエルズ氏は監督として余りにも拘りがなさ過ぎるのではないか。後半のご都合主義でつまらないドラマにウエイトをかけるよりも、前半にもう少し木目細かで丁寧な描写が欲しかったと思うのは私だけではない筈だ。「時間」をテーマにしている作品だが、どうやら映画そのものが時間のバランスを崩してしまったようだ。ただ、オリジナル版にオマージュを捧げたようなレトロなタイムマシンの美しさに魅せられ、敢えて評価を高くした。