現実にあったことでも、描き方によっては嘘っぽくなってしまうと .. >(続きを読む)
現実にあったことでも、描き方によっては嘘っぽくなってしまうという点が、実話の映画化の難しいところ。映画なのだから多少の誇張はあって然るべきなのだが、余りにも事がトントン拍子に運んでしまうと、つい眉に唾をつけたくもなるというもの。そういう意味で言うと、本作の虚実ぎりぎりのところは、J・リー・ハンコック監督のツボを心得た演出(再現と言い換えてもいい)で巧くクリアして、実に好感の持てる快作に仕上がっている。球速を測るのに車の計測器を利用するエピソードなどは、実に憎い演出だと思う。現実のJ・モリスは夢と家庭に悩むという優柔不断な男だが、そこがまた人間臭く魅力的なキャラとして受け入れられたのだろう。そしてその彼を演じるD・クエイド(=万年青年)の屈託のない明るい表情と嫌味のない演技が、この作品をより爽やかなものにしている。だから、ラストは多分こうなるだろうと分かってはいても、やはり泣けてしまうのだ。