背筋が凍りつくような日常生活に潜む狂気を、平成のクロサワが炙 .. >(続きを読む)
背筋が凍りつくような日常生活に潜む狂気を、平成のクロサワが炙り出す。おそらく日本映画で初めてと言ってもいい程の、これは上質の本格的サイコ・スリラーだ。ごく普通の人々が突然何かに取り憑かれたように、そして連鎖反応を起こすかのように、狂気が狂気を生む怖さとその不可解さと不条理さ。夕食に生のままのステーキ肉が皿に盛られて出てくる、そのさり気ない不気味さ。銃の弾が無くなっても、なお自制心も無く犯人を撃ち続けるシーンの壮絶さ。人間の精神構造の病巣をえぐり出すかのような、黒沢清監督極めつけの演出スタイルが強烈なインパクトを与える秀作。