次から次へと冒頭から刺客同士の戦いが展開されていくが、話が進 .. >(続きを読む)
次から次へと冒頭から刺客同士の戦いが展開されていくが、話が進むにつれて、次第にこれがJ・リー演ずる無名の作り話という事が分かってくる仕掛け。このミステリアスな様相を呈する作品世界は、実に魅惑的なのだが、しかしこういう描き方だと、何の予備知識もない状態で本作に接した観客にとっては、混乱する事甚だしいのではないだろうか。つまりストーリーと言える程のストーリーなど無いに等しく、無名の想念の中での戦いを視覚映像化した、極端に言えば、ただそれだけの映画ともとれる。そういう意味においては、実に評価の難しい作品だ。とは言え、このめくるめく鮮やかな様式美と計算され尽くした色彩効果、そして衣裳の艶やかさ等は、初の活劇とはいえ、いかにもチャン・イーモウの作品としての特徴が顕著に表れているし、決闘シーンでのCGを駆使したそれぞれのバリエーションには、やはり堪能させられる。無名の頭の中だけの世界だけに、現実には有り得ないファンタジックな映像もそれなりに納得できるが、ただ「マトリックス」といい、これだけ連打されるとワイヤー・アクションにも少々飽きるのも事実。