沖縄の古くから伝えられる神話「運玉義留」と、本土復帰直前の沖 .. >(続きを読む)
沖縄の古くから伝えられる神話「運玉義留」と、本土復帰直前の沖縄をクロスさせた、一種のパラレル・ワールドをファンタジックに描く。オープニング、頭に槍が刺さったまま彷徨する強きをくじき弱きを助ける義賊・ギルー(=小林薫)が、空中浮遊などの超能力を駆使して大活躍したり、本土復帰か米軍統治支持かあるいは琉球独立かで、各派入り乱れての一大バトルのクライマックスまで、ファンタジーと現実との区別がつかない(否、つけない)ことが、この摩訶不思議な作品の最大の魅力となっている。登場人物たちも個性的な役柄のため、かなりクセのある俳優(例えば戸川純)を起用しているが、中でもコメディ・リリーフ的に登場する、沖縄歌謡一座の散髪屋・照屋林助(林賢のお父さん!)の個性は鮮烈で、肝心の小林薫が翳んでしまうほどだ。方言としての沖縄のコトバに字幕が付けられていた事などは、実に細やかな配慮だったと思う。