「神の沈黙」三部作の最終作であるが、ここまでくると何が神の沈 .. >(続きを読む)
「神の沈黙」三部作の最終作であるが、ここまでくると何が神の沈黙なのかさっぱり理解できない。もちろんこの作品が「神の沈黙」を描いていようがなかろうが映画の評価とは全く関係のないものなんだけど、この作品自体がいったい何を描きたかったのかがイマイチ掴めない。言語の通じない架空の国において姉はなんとか老給仕と身振り手振りで会話をする。姉は言葉の異なる者同士の架け橋役である翻訳者でもある。妹も言葉を使うことなくカフェのボーイと一夜を共にする。妹の息子は最初こそ老給仕の身振り手振りから逃げ出し、恐怖や疑念から意思疎通を拒むが、じきにいっしょに遊ぶまでになる。その一方で言葉は通じるのに全く意志の疎通が成されないのが姉と妹である。相手を理解せず、疑い、憎む。戦車が街にいきなり現れる終末感漂う世界観は姉妹のいざこざを「戦争」と結びつけているのか、反対に不安を煽る社会が姉妹を互いに反発させているということなのか。とにかくこの独特の終末ワールドだけはなかなかのインパクトを持っている。