荒唐無稽なファンタジーともいえるが、単純にそう言ってしまって .. >(続きを読む)[良:1票]
荒唐無稽なファンタジーともいえるが、単純にそう言ってしまってイメージできる範ちゅうを超えている。旧ソ連から現ロシアと近隣の小国に連なる歪んだ近代史が原型としてあるだろう、その独特の終末世界観は、荒唐無稽でありながら実に生々しく、登場する人間も生々しくもありながら実に「死」に満ちている。映される舞台は閉鎖的だが、画面は恐ろしいほど奔放である。そして色彩・・ソクーロフの何が凄いって、ソクーロフの作品それぞれが別個の独創性を持っていることだ。色彩はその独創性に大きく貢献している。これを観たときは、処女作『孤独な声』に衝撃を受け、その余韻も冷めやらぬうちに続けざまで観たせいで、また、あまりに異にする作風に戸惑いながら観たせいで、作品よりもソクーロフの才能に驚愕してしまったのだが、それゆえにもう一度観直したい映画。[良:1票]