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<ネタバレ>最近、ラジオのホラー映画の宣伝かなんかで誰かが「ホラー好きなので思いっきり悲鳴あげて楽しんできます」みたいなこと言ってる人がいて、ホラーが好きな人って怖くないんじゃなくて怖いのが楽しいんだってことに今さらながら納得して、で、やっぱり私はホラー映画の楽しみ方を知らないのだと再確認した。だからこの映画がホラー映画としての楽しみがあるのかどうなのかは分かりません。でもこの映画は面白いと思った。ナレーションを自虐的に利用した冒頭シーンで一発かましてくれるわけだが、ここでの栗山千明の延々と発せられる声がなかなかに心地よい。そして長い説明は彼女がごくフツウの女性であることはよく分かるが内面に抱えたものまではけして語らない。そういった部分はその後もけしてセリフに組み込まない。そのあたりが実に繊細。『紀子の食卓』に続いて園映画出演のつぐみが主人公とどうやら母親を異にする姉を演じているのだが、その部分も深く切り込んでゆかない。虐待母の過去をいちいち語らないところがいい。主人公がなぜ少女を必死に守るのか。その様はまるで母。つぐみの短いセリフに主人公は小さいときにこの鬼姉に同じようにいじめを受けていたらしいことを伺わせる。そのとき守ってくれたのは母だったのかもしれない。だから同じような仕打ちを受ける少女のために今度は自分が母になって守ってやる。なんてことを想像させてくれる許容範囲の深さはむやみに説明しつくさない映画の強みだ。で、この鬼姉(母)は当然キャラ的に犠牲となるわけだが、最期のシーンでもそのオラオラキャラ(勝手に今命名したが伝わるよね)を維持しながら死に際の言葉を吐くところは思わず笑ってしまったが素晴らしい。そしてちょいとキョーレツすぎる大杉漣(衣装のセンスの悪さがサイコー)の最期もまた爆笑ものだ。美容院にはありえないほどいろんな種類の美人がそろっっているのも嬉しい。[良:1票]