後にドイツ赤軍と呼ばれる組織の成り立ちと行く末が丁寧に描かれ .. >(続きを読む)
後にドイツ赤軍と呼ばれる組織の成り立ちと行く末が丁寧に描かれてゆく。さすがに全てを描ききるなんてことができるわけないので、初期主要メンバー3人の動向がメイン。テロは犯罪だから許してはいけない、と今なら言えるが、当時の社会を省みた場合、テロ行為は国家の作った法によって守られた合法的犯罪に抵抗する唯一の手段だったことがよくわかる。破壊行為は革命行為であり、そもそも体制批判なのだから体制の作り上げた法を遵守する必要がない。ベトナム戦争を発端とする反米デモと、暴力でそのデモを一掃した国家。この事件をきっかけとし、反ナチズムが反体制へと受け継がれる時代背景とリンクし極左組織が生まれてゆく必然が描かれる。そして体制をつぶすための破壊行為が、反体制であるがために抑止力を持ちえず、次第に犯罪行為そのものが目的となってゆく必然。ここまでの全体の流れが実にわかりやすく、面白い。ただ、肝心のメンバー逮捕に至るまでの体制側の描き方がブルーノ・ガンツの独り舞台であまりに短絡的に過ぎる。また逮捕後の展開が駆け足に描かれるのはしょうがないにしても組織の塀の中と外、どっちつかずの描き方も面白さを半減させているように思う。