<ネタバレ>炊事場の正面の窓の光や障子の眩しいくらいの白がとても美しく、 .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>炊事場の正面の窓の光や障子の眩しいくらいの白がとても美しく、常に映される大自然が人工の光を自然の光に化けさせる。新人監督のコントロールできないところで「照明」と「撮影」が映画を飛び越えて美しすぎる映像を作り上げる。作品を超越してしまったその技がかろうじて、そして奇跡的に河瀬監督のこれまでの生い立ちと短編ドキュメンタリーで培われた独自の視点との融合を成している。劇映画としてはたしかに説明不足な感はあるかもしれないが、男の子と女の子が兄弟ではないことは途中でわかるし、それ以上の関係性の説明など、さして重要だとは思えない。この家族は窓を開ければ常に山が見えるところに住んでおり、どこへ行くにも、どこへ行かなくとも、この山々とともに生きてきた。それがわかればいいのだ。家族の崩壊は、この山々とともにあった生活とのお別れへと直結するのだから。容赦なく時は流れ、けして流れに逆らうことはできない。崩壊の摂理の無常さがよく描かれていると思う。[良:1票]