野生のコーリャンが画面いっぱいに映される様は圧巻。広大なコー .. >(続きを読む)
野生のコーリャンが画面いっぱいに映される様は圧巻。広大なコーリャン畑をアップで撮るだけなら誰でもできるだろうが、強い風と巧みな光をもって映し出されるその様はまさに野生の強さを、自然の驚異を雄雄しく表現していて、さすがは撮影監督出身というだけのことはあると感嘆する。そして強さの象徴のように映されたからこそ、あっけなく平らに均されてゆくシーンの無残さもまた最大の効果をもって目に飛び込んでくる。ただしこれだけ印象的な画面を撮りながらもストーリーもそれ以上の大きな顔をして前に前に出ようとする。前半は画面が勝っているが後半はドラマが勝っている。ラストはスローモーションでドラマを際立たせる。不満である。芸術映画と商業映画のせめぎあい。芸術の中に商業的価値があり商業の中に芸術的価値があればそれでいいのだから、どっちがいいとか言っているわけではない。私にとってはこれらがうまく融合しているようには見えなかったというだけのこと。前半は本当に凄いんだけどなぁ。