「デカメロン」で有名な14世紀の作家ジョヴァンニ・ボッカチオ .. >(続きを読む)
「デカメロン」で有名な14世紀の作家ジョヴァンニ・ボッカチオがもし現代を背景にしたものを描いたら・・という発想から作られた4編のオムニバス。この企画に集まった面々が凄い。観る前から7点以上は確定!(笑)
■「レンツォとルチアーナ」 マリオ・モリチェッリという監督のことはよく知りませんが好印象を持ちました。仕事場の人、人、人。休みの日のプールも人、人、人。家に帰ってもお出かけしても二人っきりになれない若いカップルは理由あって会社に内緒の新婚さん。現代社会の縮図をカップルの働く会社に見立てて二人の奮闘を描く。ヒロイン、マリサ・ソリナスが小さくてめちゃ可愛い。
■「アントニオ博士の誘惑」 出だしからフェリーニ色炸裂。幻想的な色使いとコミカルな音楽がフェリーニの世界に誘う。でっかいアニタ・エクバーグが『甘い生活』を道徳的に許せない描写と批判した人たちを挑発するかのように男の欲望を炙り出す。
■「仕事中」 ヴィスコンティは『山猫』の前に没落貴族を描く。旦那の浮気に妻は怒らない。そして何もかも捨てて仕事をするとさらりと言い出す。しかし一人になったときに見せる一粒の涙が一切の説明もなしにすべてを語る。金と物に溺れる貴族社会に嫁いできた妻は自らの没落を察知している。ロミー・シュナイダーが美しい。
■「くじ引き」 デ・シーカはイタリアの持つ陽気さの中に女の苦難をさらっと描く。ラストで見せる男たちの陽気で滑稽な様を大団円で見せる。強い女、ソフィア・ローレンが女を魅せる。
総評、女の可愛さ、女の強さ、女の妖艶さ、女の弱さ、とくとご覧あれ!