<ネタバレ>『流れる』の現代版みたいな感じ。タイトルにある階段を上る時の .. >(続きを読む)
<ネタバレ>『流れる』の現代版みたいな感じ。タイトルにある階段を上る時の音楽が独特で高峰秀子の心の声と共に印象に残る。外の疲れた開放感と店の作られた開放感、その間にある階段だけはいつも薄暗く、薄暗いけど階段を上る高峰の背中だけは光が当てられ、その階段だけが別の世界であるかのように映される。出てくる男どもが意識無意識にかかわらずみんな高峰を食い物にする展開の中で、女であることが常に彼女を苦しめる。強がってはいるけれど実は弱い、でも好きな男を見送って株券を返すことでスッパリと切って、その後店で見せる商売用の笑顔に女の強さを思い知る。結局苦労するだけして何も残らない。なくしたものは多くとも得たものは厳しい現実を身をもって経験したということぐらい。けしてハッピーエンドとは言い難い。それでも前を見ているから出る笑顔に救われる。