コーエン流ブラックユーモア、と言いたいところだが、オリジナル .. >(続きを読む)
コーエン流ブラックユーモア、と言いたいところだが、オリジナルの『マダムと泥棒』がそもそもかなりブラックなので本作で感じる毒はすべてオリジナルプロットが持つもの。むしろこのリメイク版はオリジナルよりもライトに仕上がっている。ライトに仕上がっていること自体は現代的で良かったと思うし、後半の展開の速さはオリジナルのイライラ感というかイジイジ感というのが廃されて、これも今風で良かった。ただし犯人グループのキャラが弱いのはコーエン兄弟らしからぬ失点。冒頭でそれぞれのバックボーンがコミカルに描かれるがそれ以降は終始トム・ハンクスの独壇場。オリジナルではそれぞれのバックボーンなど語られることもないかわりにリーダーのアレック・ギネスを食う勢いの強烈な個性をそれぞれが発揮していた。まあ、オリジナルはともかくとして脇のキャラが魅力的であることがコーエン兄弟の映画でもあったはずで、その部分では非常に残念極まる作品。ハリウッドに染まってきたのか?兄弟!