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<ネタバレ>困った。3部作の最後なので、8点くらいは付けたかったのだが、やはりこの点。のろしが次々と灯されるシーン、夢にまで見たミナス・ティリスの映像、その二つを加味してもこの点数。どうも二つの塔でゆっくりと3チームを描き混んでしまったために、王の帰還が駆け足になってしまって説明が足らなすぎ。サム・フロド・ゴラムの三つ巴文様はすざまじかったが、演出がくどかったし。デネソール候の食事シーンは、観ていて胸が痛くなったが、これも変な演出だった。なにより第一部で、ボロミアに民を守ると誓ったはずのアラゴルンの行動の鈍さが意味不明。ローハン騎士団が決死の覚悟でいるのに、およそ何の説明もなしにアラゴルンが戦線離脱する場面などは、原作未読者ならずとも「それはないだろうーよ」と思ってしまう。戦闘シーンの映像そのものは大変素晴らしかったが、エルフの能力を楽しんで演出するより、戦いの焦点をもっと考えて欲しい。全く統一されない指揮の中で、好き勝手に戦闘して勝てるという話は、いくらファンタジーでもオカシイ。ミナス・ティリスでのガンダルフの活躍は鮮烈で、その表情一つ一つが印象深くたのもしく、イアン・マッケランは本当にスゴイ役者だなぁと感嘆しつつも、こんなんじゃ王が帰還してもかすんじゃうよ、と本気で心配した。ローハン騎士団の勇姿・エオウィンの活躍・セオデン王の迫力。すごい。ああもうアラゴルンの活躍の場がない・・・・・・。そう、この第三部の問題点はひとえに、「帰還を果たす王」の存在感が薄いということなのだ。アラゴルンがゴンドールの人々と初めて相まみえて、王と名乗りを上げる部分を描いて欲しかった。一匹狼の不審なレンジャーでいるうちはハマリ役だったヴィゴ・モーテンセンが、王として黒門前で演説してみると、あまりにも迫力に欠けていて、心の奥で涙した。こんな気の抜けた声の演説で戦闘できるかーっ!!と思ったのはアニメ映画『アリオン』以来だ。後で、吹き替え版を観たいと思う。最後に、ちょっぴり感動させられたもの。歌うピピン。黒門前で「フロドーっ!」と叫んだメリー。アルウェンの前で急に「年下の恋人」に表情が切り替わるアラゴルン。うっすらと目を開けて父を見たファラミア。あれほど指輪の近くにいたのに、すべてが終わった後には普通の生活に戻れるサム。