<ネタバレ>ひじょうに難解な映画で、当時の社会情勢やモデルとなった新聞王 .. >(続きを読む)[良:3票]
<ネタバレ>ひじょうに難解な映画で、当時の社会情勢やモデルとなった新聞王にも詳しくない私は、10点をつけるのがおこがましく思われ、この点数です。以下、私の勝手な解釈ですが、何もかも手に入れ、しかしその手に入れたものの愛で方を識らないケーンは、自己には完全なる自信を持ちながら、他に対する時、とてつもなく不器用になってしまうアンバランスな男。その不器用さは、幼くして母からひきはなされたという悲しい過去に由来している。だから誰もが羨む大富豪でありながら、どこか子供じみた頑固さを引きずっている。その彼が老い、世間から相手にされなくなり、いよいよ臨終を迎える時つぶやいた「薔薇のつぼみ」。それは幼き日への憧憬でありながら、ケーン一流の茶目っ気でもあったのではないだろか。メディアは騒ぐ。「ケーン最期の言葉の意味は一体なんだ?」記者が謎解きのために奔走する。それをせせら笑うかのように燃える橇。謎は曖昧な解釈を残して、人々の胸にわだかまる。それがケーンの狙いだったのではないだろうか。そして観客だけには、真実が明かされるのである。そして明かされた瞬間、それは黒い煙となって消えてしまうのである。その他にも「立ち入り禁止」の看板が含むニュアンスの巧妙さ。二人の夫人に対する態度の多様さなど、見どころ満載。好き嫌いに関わらず、「見ておくべき映画」の1本だと思う。[良:3票]