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<ネタバレ>最近,「マイ・シネマトグラファー」という名カメラマンのドキュメントを見て,ふと思った。
ある種のカメラマンたちは、実は監督の才能がありながら、カメラマンをしているのではないかと。
現場の実務とメカニズムを知り尽くしているカメラマンというのは実は,監督としてかなり有利であると思う。
そういえば、巨匠キューブリックも、現場で自らカメラを持つことが度々あったようだ。
それはディレクター不在でも,カメラマンが一人で取材するようなことが往々にしてあるテレビ等の現場を考えても、そう思う。(もちろん監督,ディレクターがカメラマンに劣るということではないです)
この映画,あくまで主役は「山」であり、当時の社会情勢や男達の情熱云々というよりも、あらゆる人物が「山」を立てる脇役であったのではないかと思う。だからこそ、ドラマは過剰に盛り上がることもなく、しかし丁寧に、必要十分に描かれている。
エンドロールの名前の出し方がまさに象徴的だ。
例えば「クライマーズ・ハイ」のように「山」を通して何かを描くのではなく「山」そのものを描こうとするというアプローチはカメラマンならではだと思う。
カメラマンは得てして、トリッキーなカメラワーク(クレーンや空撮)を使う誘惑にも駆られるが、あくまで人間の視点を貫いているのも潔い。
CGや合成、編集のエフェクトといった便利なものを、あるから使ってみるという映像の作り方に対して喝を入れているような映像でした。